マタニティーブルーは産後に起こります。しかし、産前に気持ちが不安定になって、急に悲しくなったり不安になったり、イライラしたりしてしまうという妊婦さんも多くいます。
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そこで、そもそもマタニティーブルーとは何かということから、産前に症状が起こる理由について考えていきたいと思います。対処法も紹介しますので参考にしてくださいね。
マタニティーブルーとは?

マタニティーブルーとは、お産を終えて数日の間に涙もろくなり、気持ちが落ち着かず悲しくなって、不安になったり、怒りっぽくなったりする状態をいいます。「マタニティーブルーズ」と呼ばれることもあります。
マタニティーブルーは一時的にみられる自然なもので、産後1週間から10日くらいで落ち着く場合がほとんどです。具体的には、このような症状が現れてきます。
- なぜか急に泣きたくなる
- 実際に数分間泣いてしまう
- 気分が落ち込んでやる気が出ない
- 気持ちが不安定で落ち着かない
- 不安で心配しすぎてしまう
- 育児に自信が持てない
- 集中力が続かない
- 疲労感や緊張感を強く感じる
- 食欲が出ない
- 孤独な気持ちになる
マタニティーブルーの原因は?
お産の後は、急激に低下するホルモンなどの影響で気分が落ち込みやすい状態になります。これがマタニティーブルーの大きな要因といわれています。
さらに、授乳などの育児が思い通りにいかないと、赤ちゃんに対する失望感や激しい疲れ、母親としての力不足を感じて絶望してしまい、マタニティーブルーの状態になっていくと考えられています。
産後のお母さんは授乳などの育児のために、睡眠時間が3時間もとれなくなります。それが休みなく毎日続き、さらに新しい経験の連続なので、体も心も疲れ切ってしまうのです。
マタニティーブルーは産前にもあるの?
マタニティーブルーは、正確には産後に起こる状態で、産前は当てはまりません。しかし、産前である妊娠中から、マタニティーブルーと同じような症状に悩む妊婦さんがたくさんいます。
妊娠して嬉しいはずなのに、なぜか悲しくて涙が止まらなくなる。急に気分が落ち込んで憂うつになったり、不安でいっぱいになったりする。
ちょっとしたことでイライラして旦那さんに八つ当たりしてしまい、自己嫌悪に陥る。お腹の中の赤ちゃんが順調に育っているか気にかかり、常に緊張しすぎて疲れきってしまう。
このように、産前にも妊婦さんは気持ちが不安定になることがあり、症状は産後のマタニティーブルーとよく似ています。
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産前に気持ちが不安定になる理由は?
どうして産前にもマタニティーブルーのような症状がみられるのでしょうか。その理由は、妊娠によって起こるたくさんの変化が、産前の妊婦さんの心に大きな影響を及ぼすからです。産前には、以下のような多くの変化を経験します。
1.ホルモンバランスの変化
妊娠するとホルモンのバランスが大きく変化し、妊婦さんの心に様々な影響を与えます。産前になぜかちょっとしたことで不安になったりイライラしたりするのは、ホルモンの影響が大きいと考えられます。後で出てくる「4.体調の変化」も引き起こします。
2.もともと抱えていた不安が強くなる
赤ちゃんや自分の健康に不安があって「無事に妊娠を続けられるのかな」などと悩んでいたり、将来に不安を抱いていたりすると、産前に気分が落ち込んでマタニティーブルーのような症状が起こりやすくなります。
3.妊娠経過の変化
初めての妊娠であったり、妊娠の経過で出血やお腹の張りなど注意すべき症状が起こって、病院で何か気をつけるように言われたり入院となったりすると、不安や心配が大きくなり気持ちが不安定になります。
また、お産が近づいてくると焦りが出てきたり落ち着かない気分になったりして、無事に産めるのだろうかという不安な気持ちがますます強くなっていきます。すぐにイライラしたり、ちょっとしたことが気になったり、動揺や興奮が起こりやすくなります。
4.体調の変化
妊娠すると、お腹の中で赤ちゃんを育てていくために、妊婦さんの体は大きく変化します。その影響で、順調な経過であっても体調が悪くなったり、マイナートラブルと呼ばれる不快な症状が現れたりします。産前には、具体的に以下のような不調を感じることがあります。
- だるい、眠い
- つわり、胸やけ(子宮が胃を圧迫する)
- 頻尿、便秘、おなかにガスがたまる
- 頭痛、腰痛
- 動悸、息切れ
- 手足のしびれ、むくみ
- 皮膚のかゆみ
- 痔や肛門からの出血
- 貧血による立ちくらみ、めまい
- 足がつる(こむら返り)
- 静脈瘤(足の表面の血管がふくれあがる)
このような体調の変化により妊婦さんはつらい思いをする場合が多く、気持ちに余裕がなくなっていきます。体調不良がいつまで続くのだろうかと考えて憂うつになることもあり、マタニティーブルーのような状態を引き起こしてしまいます。
5.環境の変化
妊娠する頃は、結婚や引っ越しなどの大きな出来事が重なりやすい時期です。産科の病院選びや赤ちゃんを迎えるための準備などもしなければならず、妊娠がわかってからしばらくは、落ち着く時間がないという妊婦さんがほとんどではないでしょうか。
引っ越したばかりであれば相談できる人が近くにいないので、慣れない環境で孤独を感じながら妊娠や出産を迎える人も少なくありません。義父母との同居が始まる場合は、生活習慣が大きく変わり、我慢しなければならないことがどうしても増えてしまいます。
仕事をしている場合は、休みをもらうのか退職するのか、それをいつからにするか、産後は仕事をどうするのかなども考えなければなりません。仕事で充実感を得ていた人にとっては、妊娠によって産前に仕事ができなくなることが大きなストレスになります。
また、「妊婦」や「母親」として周囲の人から見られるようになり、妊娠前とは違う扱いを受けて、他人から評価されているように感じてしまう場合もあります。産前のこういった環境の変化は、妊婦さんの心に大きな影響を与え、気持ちを不安定にさせます。
6.今までできていたことができなくなる
妊娠すると、好きなものを食べたいときに自由に食べたり、友達とお酒を飲みに出かけたりといった楽しみが味わえなくなります。お腹が大きくなってくると、体が重くて非常に動きづらく、日常生活で当たり前のようにできていた行動が難しくなっていきます。
あれもできない、これもできないとなってくると、なぜ自分ばかりがこんなにも我慢しなければならないのかと感じてつらくなってしまい、マタニティーブルーのような症状を産前から引き起こしやすくなります。
産前に「マタニティーブルーかも」と思ったら
マタニティーブルーは時間が解決してくれるので、無理にどうにかしようと頑張りすぎる必要はありません。気持ちをゆったり持つようにして、ひとりで苦しいときは、家族でも友達でも医療スタッフでも、誰でもいいので話を聴いてもらいましょう。
産前に自分がマタニティーブルーかもしれないと思ったら、以下のことをやってみると、気持ちが少し楽になるかもしれません。
- ひとりで考え込まずに、家族や友達と話すなど気分転換をしてみる
- 家族や友達など周りの人に協力してもらい、十分な休息や睡眠をとってみる
- 医師、助産師、保健師、看護師などの医療スタッフに相談してみる
- 原因と思われることが明確であれば、その原因を取り除けるか検討してみる
- 食事をゆっくりとる、ゆっくりお風呂に入る、など落ち着ける時間を持つ
- 軽い運動や散歩、音楽を聴く、本を読むなど、自分が楽しめることをする
もし症状が2週間以上続くようであれば、うつ病などの可能性も考えて、必ず専門家の人に診てもらいましょう。自分ひとりで抱え込もうとせずに、誰かに助けを求めることがとても大切です。「苦しいときは助けてもらえる」ということを忘れないでくださいね。
まとめ
マタニティーブルーとは産後の数日間に気持ちが不安定になる状態のことで、正確にいうと産前は当てはまりません。しかし、同じような症状は実際に産前にも起こり、このことで悩んでいる妊婦さんはたくさんいます。
産前は、妊娠によって体調や環境などの様々な面に変化が起こり、妊婦さんの心境に大きな影響を与えます。その結果、マタニティーブルーと同じような状態になるのも珍しくないのです。産前に気持ちが不安定になるのは、とても自然なことです。
もし産前に「マタニティーブルーかも」と思ったら、気分転換をしたりゆったりと過ごしたり、自分が楽しめることをしてみてください。もし原因が明らかであれば、まずはそれを取り除くことはできないか考えて、関係する人に相談してみてくださいね。
マタニティーブルーは自然に症状がなくなっていくのですが、長引く場合はうつ病の可能性があるので注意してください。自分ひとりで頑張りすぎると苦しくなります。家族や友達、医療スタッフなど、周りの人に助けてもらいながら、焦らず乗り越えていきましょう!
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