妊婦の食べる朝ごはん、パンを選んでもいいの?

朝ごはんといえば、「お米派」と「パン派」に大きく分かれると思います。この2つを比べると、和食であるお米の方がなんとなく体に良さそう、というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

もしこのイメージが本当のことだとしたら、これまで朝ごはんはパン派だったという妊婦さんは、どうすればいいのでしょうか。今まで通りパンを食べ続けても良いのか、それとも赤ちゃんのためにはお米にするべきなのか……。悩んでしまいますね。

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そこで、この記事では、妊婦さんが朝ごはんを食べる上で気をつけなければならないことや、朝ごはんにパンを食べても良いのかどうか、食べるならどのような食べ方が良いのか、ということについてお話ししていきます!

妊婦さんが食べる朝ごはん、気をつけることは?

皆さんは毎日の朝ごはんに何を食べているでしょうか。朝は忙しい時間帯なので、手軽に食べられて洗い物の少なくなるような朝ごはんが好まれる傾向にあると思います。人によっては、朝ごはんを食べないこともあるでしょう。

しかし、妊婦さんは食事を通して、自分だけではなく赤ちゃんの分まで栄養を摂らなければなりません。そのため、朝ごはんは何でも良い!食べなくても良い!というわけにはいかなくなってきます。

それでは、朝ごはんを食べるとき、妊婦さんはどのようなことに気をつけなければならないのでしょうか。大きく2つに分けてお話ししていきます。

1.妊婦さんはカロリーの摂りすぎに注意!

妊婦さんは自分自身だけではなく赤ちゃんの分までエネルギーが必要なので、妊娠前よりもカロリーを多く摂る必要があります。

しかし、毎日の生活の中で消費するエネルギー量は人によって異なります。赤ちゃんの成長に伴い、妊婦さんに必要なエネルギー量も変化していきます。

妊婦さんには太りやすい時期もあり、そんなに食べていないつもりでもなぜか体重が増えてしまうこともあります。

このような背景から、自分に必要なカロリー量を超えて食べすぎてしまう妊婦さんが非常に多くなっています。

妊娠してから増えた余分な体重は脂肪となり、赤ちゃんの通り道である産道や、赤ちゃんを守り育てている子宮に蓄積されていきます。

産道が狭いので赤ちゃんは生まれてくる途中で具合が悪くなり、妊婦さんも長時間苦しい思いをします。いわゆる「難産」です。

子宮は脂肪に邪魔されて、産後に元の大きさに戻りにくくなります。子宮の内側からの出血量が多くなり、最悪の場合、お産を終えた妊婦さんが命を落とすこともあります。

これらのことから、妊婦さんは体重の増えすぎに注意する必要があります。朝ごはんを食べるときは、カロリーを摂りすぎないように気をつけなければならないのです。

2.妊婦さんは栄養バランスの偏りにもご用心!

栄養バランスが偏った朝ごはんでは、カロリーの摂りすぎになる可能性が高まるだけでなく、必要な栄養が不足して赤ちゃんの成長に悪い影響を及ぼしてしまうこともあります。

妊婦さんは赤ちゃんの分も鉄分が必要になるので、貧血になる人が多くいます。貧血の状態では、赤ちゃんに運ばれる栄養や酸素が足りなくなったり、お産のときに出血が止まりにくくなったりします。

鉄分は、ビタミンやミネラルなどの栄養素と一緒に摂ることで効率よく吸収されます。サプリメントや鉄剤で鉄分を補うこともありますが、まずは毎日の食事で鉄分と他の栄養素をバランスよく摂ることが大切です。

妊婦さんにはカルシウムも必要です。赤ちゃんの骨が作られるためにはカルシウムが欠かせません。しかし、カルシウムを一気にたくさん摂っても意味がありません。

骨には「破骨細胞」と「骨芽細胞」があり、古い骨を壊しては、新しい骨を作っています。これを繰り返して骨は強く保たれているので、カルシウムは毎日少しずつ必要になるのです。

また、レトルト食品やインスタント食品、お菓子などの加工食品に含まれる「リン」は、カルシウムの吸収を妨げてしまいます。加工食品はできるだけ摂らない方がおすすめです。

栄養の偏りは、妊娠合併症を引き起こす危険性も高めてしまいます。代表的なのは「妊娠高血圧症候群」という合併症で、赤ちゃんに必要な栄養や酸素が届きにくくなってしまいます。この合併症を防ぐためには、塩分の摂りすぎに注意する必要があります。

妊婦さんが食べたものが赤ちゃんの体を作っていきます。栄養バランスの良い朝ごはんで、赤ちゃんをすくすく育ててあげたいですね。

朝ごはんにはパンとお米どちらがいいのか

妊婦さんが朝ごはんで気をつけることは、「カロリーの摂りすぎ」と「栄養バランスの偏り」だということがわかりました。

それでは、朝ごはんにはパンを食べても良いのでしょうか。それとも、お米の方が良いのでしょうか。パンとお米を様々な角度からみて、比べてみたいと思います。

パン

食パン3枚(8枚切)=約150g =396kcal
栄養素:炭水化物70.1g、たんぱく質14.0g、脂質6.6g
[良]朝時間がなくても簡単に早く食べられる
[良]食器をあまり使わないので洗い物が少ない
[注]種類によっては高カロリーのパンもある
[注]単品で食べすぎて栄養が偏ることがある

お米

炊飯したごはん茶碗1杯=約150g =252kcal
栄養素:炭水化物55.7g、たんぱく質3.8g、脂質0.5g
[良]カロリーの低いおかずが多い
[良]おかずと一緒にバランスよく食べやすい
[注]お米を研いで炊くなど準備に手間がかかる
[注]品数が多くなり早く食べられず洗い物も多い

パンをお米と比べてみると、同じ重さであれば、パンの方がカロリーの高い朝ごはんになることがわかります。そのため、パンの場合は食べる量に気をつける必要があります。

栄養素で比べると、パンはお米の1.3倍の炭水化物、3.7倍のたんぱく質、13.2倍の脂質が含まれています。バランスでいうと、パンは特に脂質を非常に多く摂りすぎてしまうことになります。他の食品も食べて、栄養バランスを整えなければなりません。

特に仕事をしている妊婦さんにとっては、朝はとても忙しい時間帯です。忙しいからといって朝ごはんを何も食べないよりは、何か食べた方が体に優しいです。その点で、簡単に早く食べられるパンは、朝ごはんにもってこいの食品だと思います。

しかし、パンは単品で食べすぎないように注意が必要です。種類によっては高カロリーで栄養バランスの偏りやすいものもあります。同じパンの朝ごはんでも、どの種類を選ぶか、何を一緒に食べるかで、全然違ってきます。

つまり、パンがダメでお米が良い、というわけではないのです。食べ方次第で、パンも妊婦さんにおすすめの朝ごはんになります。

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朝ごはんにおすすめのパンの種類と食べ方

パンは忙しい時間の中で食べる朝ごはんにぴったりですが、妊婦さんにおすすめの朝ごはんになるには、食べ方が重要になってきます。どんな種類のパンを、どんな食品と一緒に食べればいいのでしょうか。

まずはパンの種類と150gあたりのカロリー、炭水化物・たんぱく質・脂質の量をみてみましょう。カロリーの高い順に並べます。

パンの種類 カロリー 炭水化物 たんぱく質 脂質
クロワッサン 672 kcal 65.9g 11.9g 40.2g
揚げパン 566 kcal 65.3g 13.1g 28.1g
ドーナツ 563 kcal 90.3g 10.8g 17.5g
メロンパン 549 kcal 89.9g 12.0g 15.8g
チョコパン(薄皮タイプ) 522 kcal 59.3g 8.3g 28.1g
チョココロネ 506 kcal 64.2g 10.6g 23.0g
カレーパン 482 kcal 48.4g 9.9g 27.5g
カレーパン(皮のみ) 576 kcal 57.6g 10.8g 33.6g
カレーパン(具のみ) 270 kcal 28.2g 8.0g 14.0g
ロールパン 474 kcal 72.9g 15.2g 13.5g
クリームパン 458 kcal 62.1g 15.5g 16.4g
クリームパン(薄皮タイプ) 341 kcal 48.4g 9.9g 12.0g
ジャムパン 446 kcal 81.8g 9.9g 8.7g
あんパン 420 kcal 75.3g 11.9g 8.0g
あんパン(薄皮タイプ) 390 kcal 79.2g 9.9g 3.6g
フランスパン 419 kcal 86.3g 14.1g 2.0g
ベーグル 413 kcal 81.9g 14.4g 3.0g
ぶどうパン 404 kcal 76.7g 12.3g 5.3g
コッペパン 398 kcal 73.7g 12.8g 5.7g
食パン 396 kcal 70.1g 14.0g 6.6g
ライ麦パン 396 kcal 79.1g 12.6g 3.3g
イングリッシュマフィン 342 kcal 61.2g 12.1g 5.4g

この表を参考にして、どんな種類のパンが良いのか考えていきます。(パンのメーカーや作り方によって値は異なりますので、参考までに)

単純にカロリーだけでみれば、この中ではイングリッシュマフィンが最もカロリーの摂りすぎを抑えることのできる種類です。

しかし、イングリッシュマフィンを単品で食べることは少ないと思います。バターを塗ったり高カロリーの食品を挟んで食べたりすると、すぐにカロリーの摂りすぎになってしまうので注意が必要です。

ライ麦パンや食パン、コッペパン、ベーグル、フランスパンも同様で、単品で食べるには味が物足りないかもしれません。一緒に食べる食品に気をつける必要があると思います。

チョコパンやクリームパンなどは、単品でもおいしく食べられる、いわゆる「菓子パン」です。菓子パンは高カロリーな上に、単品で食べすぎて栄養が偏ってしまう可能性が高い種類です。

そのため、朝ごはんに菓子パンを食べるのは極力避けることをおすすめします。どうしても食べたい日は、間食を我慢してお昼ごはんや晩ごはんのカロリーを控え、その日は足りない栄養を補えるような食品を選んで食べましょう。

また、噛みごたえのある生地のパンを選ぶと、満足感が得られるので食べすぎを防ぐことができます。

次は、朝ごはんでパンと一緒に食べるとおすすめの食品を紹介します。栄養のバランスを考えるためには、5大栄養素が欠かせません。5大栄養素とは、たんぱく質・脂質・炭水化物(糖質)・ビタミン・ミネラルの5つの栄養素のことです。

パンに含まれる主な栄養素は炭水化物で、種類によっては脂質も多く含まれます。また、調理の過程で油を使う料理が多いため、脂質はいつの間にか摂りすぎてしまいやすい栄養素です。

そのため、朝ごはんでは、たんぱく質・ビタミン・ミネラルの3つの栄養素を意識するとバランスを整えやすくなります。それぞれの栄養素が摂れる食品のうち、朝ごはんのときにパンと一緒に食べるとおすすめのものを簡単にまとめてみました。

  • たんぱく質:卵(目玉焼き、スクランブルエッグ、ゆで卵など)、ハム、ウインナー
  • ビタミン:果物(バナナ、イチゴなど)、野菜(レタス、キャベツ、トマトなど)
  • ミネラル:牛乳、ヨーグルト、チーズ

朝ごはんでは、これらの中から2種類以上の食品を選んで、パンと組み合わせて食べてみてください。このとき栄養素はできるだけ重ならないようにします。そうすると、栄養バランスの良い朝ごはんができます。

最初は難しく感じるかもしれませんが、焼くだけ・パンに挟むだけなどの調理であれば、忙しい朝でもなんとかできそうな気がしてきませんか?朝に調理するのが難しければ、前日の夜に作っておくのもおすすめです。

もしなかなかうまくいかなくても大丈夫です。朝ごはんでバランスが崩れてしまったと思ったら、お昼ごはんや晩ごはんがあります。1日全体で栄養バランスが整うように意識するだけでも、これまでと全然違ってくると思いますよ。

まとめ

朝ごはんでパンを食べたいときは、ぜひ我慢せずに食べてください。そのときの朝ごはんのポイントは2つ。「カロリーの低い種類を選んで食べすぎないこと」「たんぱく質・ビタミン・ミネラルを一緒に摂ること」です。

しかし、ポイントがわかっていても、朝ごはんという生活習慣を変えるのはなかなか難しいものです。すぐには変えられなくても自分を責めずに、少しずつ取り入れてみてください。

今妊婦さんが朝ごはんについて真剣に悩んでいるのは、お腹の中の赤ちゃんを大切に思っているからだと思います。この記事をヒントにして、赤ちゃんのために悩んでいる妊婦さんが明るい気持ちで頑張れるようになったら、とても嬉しいです。

赤ちゃんも、妊婦さんの朝ごはんをきっと応援してくれていると思います。お腹の中の赤ちゃんにも栄養を届ける気持ちで、毎日楽しく朝ごはんを食べてみてくださいね。

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