産後のマタニティーブルーってどんな症状?時期にも注意!

マタニティーブルーは、正確には産後にみられるもので、およそ3人に1人が経験すると言われています。しかし、妊娠中から身近なこととしてイメージするのは難しいのではないでしょうか。また、症状が現れる時期によっては、深刻な状態である場合もあります。

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そこで、産後のマタニティーブルーの症状について、実際の例や注意すべきことなどを含めて、詳しくお話ししていきたいと思います。

マタニティーブルーとその症状

マタニティーブルーとは、お産を終えて数日の間に涙もろくなり、気持ちが落ち着かず悲しくなって、不安になったり、怒りっぽくなったりする状態です。「マタニティーブルーズ」と呼ばれる場合もあります。

この状態は一時的にみられる自然なもので、症状は産後1週間から10日くらいで落ち着く場合がほとんどです。

正確には「産後」に起こるものをマタニティーブルーといいます。しかし、妊娠に伴う自分の体や環境の変化により、お産の前にもマタニティーブルーのような症状がみられる場合があります。

実際には以下のような症状が現れてきます。もし産後数日でこういった症状がみられたら、マタニティーブルーの状態になっている可能性が考えられます。

  • なぜか急に泣きたくなる
  • 実際に数分間泣いてしまう
  • 気分が落ち込んでやる気が出ない
  • 気持ちが不安定で落ち着かない
  • 不安で心配しすぎてしまう
  • 育児に自信が持てない
  • 集中力が続かない
  • 疲労感や緊張感を強く感じる
  • 食欲が出ない
  • 孤独な気持ちになる

産後にマタニティーブルーが起こる要因

マタニティーブルーは産後の一時的な状態であり、自然なものであるというお話をしました。それでは、マタニティーブルーの症状はどうして起こるのでしょうか。大きく3つの要因に分けてお伝えしていきたいと思います。

1.ホルモンバランスの急激な変化

産後に胎盤が体の外へ出されると、「エストロゲン」「プロゲステロン」という女性ホルモンが急激に低下します。このホルモンバランスの変化が、気分の落ち込みやすい状態を一時的に引き起こし、マタニティーブルーの大きな要因になっているといわれています。

2.育児が思い通りにいかない

授乳などの育児が思い通りにいかないと、赤ちゃんに対する失望感や激しい疲れ、母親としての力不足を感じて、絶望してしまうことがあります。特に、思い描いていた育児と現実とのギャップが大きいほど、マタニティーブルーの症状が現れやすいと考えられます。

3.育児による睡眠不足と疲れ

産後のお母さんは授乳などの育児のために、一度に眠れるのが3時間未満となります。それが昼も夜も休みなく毎日続き、さらに初めてのお産であれば新しい経験の連続となるので、体も心も疲れ切ってしまいます。睡眠不足と疲れは、気持ちを不安定にさせます。

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マタニティーブルーの実際

マタニティーブルーの症状については最初にまとめましたが、身近なこととして具体的にイメージするのは難しいかもしれません。そこで、私が助産師として産後の方々と接してきた経験から、マタニティーブルーかな?と思った2人の方のエピソードをご紹介します。

これらのエピソードを読んで、マタニティーブルーの症状は誰にみられてもおかしくない、自分の身に起こるかもしれないと感じていただき、産後も忘れずにいてほしいと思います。

明るく前向きなAさんの場合

Aさんはとても明るくポジティブな性格で、会話をするといつも肯定的な言葉が出てくるような方でした。乳房の形や母乳の量、赤ちゃんの飲む力などの関係で、授乳には苦労が多かったのですが、決して弱音を吐かずに笑顔で乗り越えていました。

ところが、産後2~3日目の頃に部屋を訪ねると、Aさんは急に泣き出してしまいました。涙が止まらなくなったので、私はAさんの気持ちが落ち着くまで、何も言わずにそばにいました。

その後、頑張っているのに全然できないという焦りの気持ちがあったことなどを教えてくださいました。私はただ話を聴くことしかできませんでしたが、話し終えたAさんは笑顔に戻って、また前向きに育児に取り組むことができるようになりました。

育児が順調だったBさんの場合

Bさんはとてもおとなしい印象の方で、口数は多くなく、説明をしっかり聞いてくださって、抱っこやおむつ交換、授乳などの育児を上手にこなしていました。母乳の分泌も非常に良く、直接授乳だけで赤ちゃんは体重を増やしていくことができました。

ある日の朝お会いしたとき、Bさんには笑顔もみられ、私はとても順調であることをBさんに伝えていました。しかし、その日の夕方に部屋を訪ねると、Bさんは号泣していました。事情を尋ねても答えられないほど泣いていたので、落ち着くまでそばで待っていました。

その後Bさんは、赤ちゃんと2人きりでいるときに育児がスムーズにできないと感じていたこと、これでちゃんとできているのかと不安でいっぱいだったことを教えてくださいました。

私はBさんがひとりで不安を抱えていたことに気付かず、順調だと思ってあまり部屋を訪れなかったことを謝りました。それから退院までは、Bさんはお会いする度に笑顔で、赤ちゃんの様子などを話してくださるようになりました。

症状が長引くときは要注意!!

産後のマタニティーブルーで特に注意すべきなのは、「産後うつ病」に移行することです。

マタニティーブルーはあくまで一時的な状態で、産後2週間になる前までには症状が落ち着きます。もしそれ以上長引くなら、マタニティーブルーではなく「産後うつ病」の可能性があります。

産後うつ病は、名前の通り「うつ病」のひとつで、珍しくない病気です。マタニティーブルーは自然に症状がなくなっていきますが、産後うつ病の場合、自然に治ることはほとんど期待できません。できるだけ早く適切な治療を受ける必要があります。

産後うつ病の症状と発症時期

産後うつ病の症状は、簡単に言うと、うつ病と同じです。マタニティーブルーの症状に比べ、非常に深刻な状態となります。例えば、こういった症状が現れてきます。

  • 気分の落ち込みがひどい
  • 何事に対しても意欲がなくなる
  • 食欲が極端にない、または食べすぎる
  • 眠れないまたは寝すぎてしまう
  • 自分を強く責めすぎる
  • 死にたいと強く思ってしまう

産後うつ病は、マタニティーブルーが長引いて悪化したような形で発症することがありますが、産後数か月してから発症することもあります。日常生活への復帰、復職などの環境の変化がきっかけとなることが多いので、当てはまる時期には注意が必要です。

まとめ

マタニティーブルーとは、産後の数日間に気持ちが不安定になる状態のことです。涙もろくなるというのが症状の大きな特徴で、他にも様々な症状が現れてきます。症状は一時的にみられる自然なもので、産後1週間から10日くらいで落ち着く場合がほとんどです。

産後は、急激に低下するホルモンなどの影響で気分が落ち込みやすくなり、頻回な授乳による睡眠不足や育児がうまくいかないことなどが要因となって、マタニティーブルーが起こると考えられています。

産後は赤ちゃんと2人きりの時間がほとんどで、孤独になりやすい時期です。マタニティーブルーは誰にでも起こりうるものなので、もし産後に気持ちが不安定になっていると感じたら、一時的なものだと気楽に考え、誰かに話を聴いてもらうようにしましょう。

産後のマタニティーブルーで注意すべきなのは、産後2週間以上経っても症状が長引く場合です。マタニティーブルーが長引く場合や、産後数か月で環境の変化をきっかけに症状が現れてきた場合は、「産後うつ病」を疑う必要があります。

「産後うつ病」になると、うつ病と同じで深刻な症状が現れ、早く適切な治療を受ける必要があります。産後2週間を過ぎても気分がひどく落ち込んでしまうときは、ひとりで抱え込まず、誰かに助けてもらうことが何よりも大切です。

マタニティーブルーの症状が産後に現れたら、誰にでもいいので、必ずSOSのサインを出してください。家族でも友達でも医療スタッフでも、誰でも構いません。話を聴いてくれる人を大事にして、いつも助け合えるような関係でいてほしいと思っています。

マタニティーブルーの解消法については、こちらの記事も読んでみてください。
⇒マタニティーブルー解消法とは?こんな症状に注意!

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