妊婦もお菓子を食べたい!栄養面で注意すべきこととは?

多くの妊婦さんは赤ちゃんのために、栄養を意識して食べ物を選ぶと思います。でも時々は、大好きなお菓子をつい食べ過ぎて罪悪感…、なんてこともあるのではないでしょうか。

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「好きなものを食べたい」という衝動は抑えがたいものです。そこで今回は、どうしてもお菓子が食べたいとき栄養面で注意するべきことについて、お話ししたいと思います。

栄養の基本:5大栄養素

栄養を考える上で欠かせないのが、5大栄養素です。5大栄養素とは、たんぱく質・脂質・炭水化物(糖質)・ビタミン・ミネラルの5つの栄養素のことです。まずはこれらの栄養素について詳しくお話しします。

1.たんぱく質

筋肉や臓器などの体を作るもとになる栄養素です。肉や魚、牛乳・乳製品、卵などに含まれている動物性たんぱく質と、大豆・大豆製品や穀類などに含まれている植物性たんぱく質の2種類があり、どちらかに偏らないようにします。摂りすぎると太ってしまいます。

2.脂質

体の中で燃えて、少量で多くのエネルギーに変わる栄養素です。体温を保ち、ビタミンの吸収を助けます。動物性脂肪、植物の油脂、魚の油があり、4対5対1くらいを目安に摂ります。

魚の油に含まれるDHAは脳の神経細胞を、動物性脂肪に含まれるコレステロールは血管壁や細胞膜を作ります。摂りすぎると体の中に多く蓄えられ、太ってしまいます。

3.炭水化物(糖質)

体を動かすエネルギーになり、脳にとっては唯一の栄養素です。1日に必要なエネルギー量の約60%を担っています。ごはん、パン、パスタ、うどん、そば、じゃがいも、砂糖などに多く含まれています。

脳はエネルギーを蓄えられないので、思考力や集中力を低下させないためにも、常にエネルギー補給が必要です。ただし、摂りすぎると体の中で脂質に変化して蓄えられてしまい、太りすぎにつながります。

4.ビタミン

エネルギーを作ったり、免疫力を高めたり、他の栄養素の働きを助けたりする栄養素です。体の中で作る量では足りないので、食品で摂らなければなりません。13種類ありますが、特に大事なのがビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンDです。

[ビタミンA] 視力、視覚を正常に保ち、皮膚や粘膜を健康に保ちます。免疫力を高めてくれる栄養素です。トマト、にんじん、かぼちゃ、レバー、うなぎなどに含まれています。

[ビタミンB1] 炭水化物を分解して体や脳のためのエネルギーに変えたり、疲れの原因物質を作りにくくしたりする栄養素です。豚肉、ハム、ベーコン、大豆、紅鮭、たらこなどに含まれています。

[ビタミンB2] 脂質を分解してエネルギーを作ったり、皮膚や髪の毛、爪を健康にして成長を促したりする栄養素です。レバー、卵、乳製品、納豆、青背魚などに多く含まれます。不足すると口内炎や肌荒れ、吹き出物などの原因になります。

[ビタミンC] 血管や骨を丈夫にし、肌の張りや柔らかさを保つコラーゲンの生成を助ける栄養素です。イチゴ、オレンジ、レモン、野菜などに主に含まれています。ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いので、調理方法を工夫して摂取します。

[ビタミンD] カルシウムの吸収を助け、骨や歯を作るのに欠かせない栄養素です。魚、卵、きのこ類に多く含まれます。

5.ミネラル(無機質)

体を作る材料になったり、体の調子を整えたりする栄養素です。体の中で作ることができないので、食品で摂らなければなりません。体に必要な無機質は16種類ありますが、中でも成長や発育の過程で大切なものとして、カルシウムと鉄が挙げられます。

[カルシウム] 丈夫な骨や歯を作るのに欠かせない栄養素です。イライラした気分を落ち着かせる働きもあります。牛乳・乳製品、大豆・大豆製品、小魚、海藻、小松菜に主に含まれています。牛乳や乳製品ばかりで摂っているとエネルギーや脂質を摂りすぎる可能性があります。

[鉄] 血液中の赤血球に含まれ、酸素と結びついて体中に酸素を届ける栄養素です。レバー、赤身のの肉や魚、貝、大豆製品、ほうれん草、小松菜などの青菜類に多く含まれています。不足すると貧血の状態になり、疲れやすい、顔色が悪い、めまいがするなどの症状が出ます。

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妊婦が摂りすぎに注意するべき栄養素9つ

お腹の中の赤ちゃんに影響が及ぶ危険性があることから、妊婦さんが摂りすぎに注意しなければならない栄養素があります。ここでは、特に大事なものを9つ紹介します。お菓子を食べるときは、以下の4~9の栄養素に特に注意が必要です。

1.ビタミンA

不足すると赤ちゃんの皮膚や粘膜がうまく形成できず、発育不良や感染しやすくなるなどの影響が出ます。しかし、妊婦さんがレバーやうなぎなどの動物性食品、サプリメントや医薬品でビタミンAを摂りすぎると、赤ちゃんの奇形のリスクが高まってしまいます。

2.ビタミンD

不足すると赤ちゃんの骨がうまく形成されない可能性があります。摂りすぎた場合、赤ちゃんには、成長の遅れや骨の形成異常といった影響が考えられます。妊婦さんには、食欲不振や嘔吐、下痢などの症状が現れる高カルシウム血症、腎機能障害の危険性があります。

3.水銀を多く含む魚

大型の魚には、水銀が多く含まれている可能性があります。水銀は、お腹の中の赤ちゃんの知力、運動機能、視力に障害を引き起こす危険性があると言われています。ミナミマグロや本マグロ、クロムツ、クジラ、キンメなどは食べすぎないように気をつけましょう。

4.リン

摂りすぎると、カルシウムや鉄分を吸収しづらくなります。カルシウムや鉄分は、妊婦さんに特に必要な栄養素です。加工食品や清涼飲料水、スナック菓子、カップ麺などのインスタント食品、ハム、ソーセージなどに多く含まれているので要注意です。

5.塩分

摂りすぎると、妊娠高血圧症候群という妊娠合併症を引き起こす原因になります。赤ちゃんにも妊婦さんにも影響の大きい合併症です。塩分はファーストフードやスナック菓子、レトルト食品に多く含まれるので、妊娠中はこれらの食品を避けることが望ましいです。

6.砂糖

白砂糖を摂りすぎると、カルシウム、ビタミンB1、B2が大量に奪われます。これらの栄養素は妊婦さんにとって必要不可欠です。甘いものが食べたいとき、砂糖が多く含まれるものは避けましょう。甘いものが食べたいときの注意点は、こちらも参考にしてください。
妊婦が甘いものを食べたくなる理由!朝ごはんは要注意?

7.脂質

妊婦さんは脂肪を蓄えやすい状態になっています。脂質を摂りすぎるとあっという間に体重が増えていき、妊娠高血圧症候群につながったり、難産になったりします。特に動物性脂肪の摂りすぎに気をつけましょう。

8.シナモン

スパイスの一種で、健康に良い側面も多く、美容効果も期待されています。しかし、妊婦さんが極端に摂りすぎると、流産のリスクが高まると言われています。スパイスやハーブには強い作用を持つものが多いため、妊婦さんは気をつける必要があります。

9.カフェイン

妊婦さんが摂りすぎると、流産・早産や赤ちゃんの発育の遅れといったリスクが高まると言われています。コーヒーやココアだけではなく、多くのお茶など様々な飲料に含まれているので、注意してください。水や麦茶をよく飲むようにして、摂取を抑えましょう。

妊婦がお菓子を食べるときの注意

妊婦さんは、お菓子が食べたいと思ったとき、どんなお菓子を想像するでしょうか。スナック菓子や甘いものは、リン、塩分、砂糖、脂質などを多く含みます。市販のお菓子を食べすぎてしまうと、お腹の中の赤ちゃんに大きな影響が及ぶ可能性があります。

お菓子と一緒に清涼飲料水を飲みたくなる人も多いと思いますが、さらにリン、塩分、砂糖の摂りすぎを引き起こし、栄養バランスを悪くする原因になります。カフェインを多く含むものもあるので、飲み物にも気をつけたいところです。

妊婦さんが食べる場合の理想は、野菜やフルーツなどの自然の甘みを活かした手作りのお菓子です。しかし、手作りはハードルが高いですよね。市販のものであれば、リン、塩分、砂糖、脂質、その他の食品添加物ができるだけ少ないものを選びましょう。

他にも、洋菓子よりは和菓子を選ぶ、野菜やフルーツなど自然の食材をお菓子の代わりに食べる、小分けにして量を決める、噛みごたえのあるものをよく噛んで食べる、などの方法で栄養の極端な偏りを防ぐことができます。

このように、どうしてもお菓子が食べたいときには内容をよく考え、食べすぎないための工夫をする必要があります。妊婦さんにおすすめのお菓子の食べ方については、こちらの記事に詳しくまとめているので、ご覧ください。
「妊婦はお菓子を食べてはいけない」は間違い?良い食べ方とは!

まとめ

栄養を考えるときは5大栄養素を意識して、バランス良く食べるようにします。栄養の偏りがお腹の中の赤ちゃんや妊婦さん自身の体に悪影響を及ぼすので、あまり食べることができていない栄養素があると感じたら、意識して取り入れてみてください。

妊婦さんは摂りすぎに注意すべき栄養素があるので、お菓子を買いたいと思ったときに思い出して、お菓子に含まれている栄養素をよく確かめて選ぶようにしましょう。市販のお菓子や清涼飲料水などには、食品添加物が多く含まれています。

お菓子で特に摂りすぎる可能性が高いのは、リン、塩分、砂糖、脂質、カフェインです。妊婦さんもたまにはお菓子を食べていいのですが、食べすぎと栄養の偏りに注意して、食べ方を工夫しながら楽しみましょう。

妊婦さんのお菓子の食べ方は、こちらで詳しくお話ししています。工夫次第では、栄養バランスを大きく崩すことなく、妊婦さんもおいしくお菓子を食べることができます。具体的にどうすればいいのか、ぜひこちらを参考にしてみてくださいね。
「妊婦はお菓子を食べてはいけない」は間違い?良い食べ方とは!

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