安産に向けて!股関節を柔らかくするストレッチとは?

安産のためには股関節が柔らかい方が良いのですが、その理由を知っているでしょうか。

個人的な話になりますが、私は足を伸ばして座ったときに、直角まで足を開くことができません。同じくらい股関節が硬い妊婦さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

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そこで今回は、股関節の柔軟性を高めるストレッチを6つご紹介します。その前に、安産の意味、股関節と安産の関係、ストレッチの有効性などについてお話しさせていただきますね。

安産とは?

妊婦さんであれば誰もが安産を望んでいると思いますが、安産という言葉の具体的な意味を知っているでしょうか。「安産」は医学用語ではありません。そのため、正しい定義があるわけではなく、言葉を使う人の気持ち次第で意味は変わってきます。

一般的には、次の3つを満たしているときに「安産」と言われる場合が多いです。

正期産である

正期産とは、妊娠37週0日から41週6日までのお産です。この時期よりも早い場合は「早産」、遅い場合は「過期産」となります。

早産の場合は赤ちゃんが未熟な状態で生まれる可能性があり、過期産の場合は胎盤の働きが悪くなって赤ちゃんが苦しくなる可能性があります。

自然なお産である

自然に陣痛が来て、赤ちゃんが産道を通り、医療器具を使わずに出産すると「安産」と言われることが多いです。逆を言うと、帝王切開、陣痛促進剤を使ったお産、吸引分娩、鉗子分娩などは「安産」と言われないことが多いです。

陣痛から短時間でお産になる

陣痛が始まってから赤ちゃんを産むまでにかかる時間の目安は、初産婦さんが15時間くらい、経産婦さんが7時間くらいです。この目安くらいの時間であれば、スムーズなお産だったということで「安産」と言われることがあります。

安産のために大切な要素3つ

安産のためには体の準備をしておくと良いのですが、ここで大切なのが「筋力」「柔軟性」「スタミナ」の3つの要素です。

1.筋力

陣痛は、簡単に言うと「赤ちゃんを押し出してあげるための力」です。赤ちゃんを産むためには、陣痛の波が来たときに腹圧をしっかりとかけられる筋力が大切です。うまく腹圧がかけられないと産むまでに時間がかかり、母子ともに疲れきってしまいます。

2.柔軟性

赤ちゃんの通り道である産道はとても狭いです。赤ちゃんは頭の直径をできるだけ小さくして、上手に回りながら産道を少しずつ進み、ようやく生まれてきます。産道が赤ちゃんの通りやすい状態に整っていることがとても大切です。

具体的には、骨盤が歪んでいない、股関節が柔らかい、骨盤底筋が緩んでいるという状態が望ましいです。つまり、体の柔軟性が高い状態、ということになります。

3.スタミナ

陣痛開始からお産が終わるまでには何時間もかかります。この長時間のお産を耐えられる体力は非常に大事です。スタミナが切れてしまうと陣痛が弱くなって産むのに時間がかかり、安産から遠ざかります。

股関節って安産と関係あるの?

お産の最後は、分娩台の上で足を大きく開いた状態になることがほとんどです。人によっては、何時間もその体勢のままでいなければなりません。股関節が硬いと、この姿勢は本当につらいと思います。足がつってしまう人も珍しくありません。

陣痛の波が来て痛いときに、しっかり足を開いた状態で股関節のあたりの筋肉をゆるめていると、最後に赤ちゃんが出てきやすくなります。この点において、股関節が柔らかい人の方が安産につながると考えられます。

ストレッチは安産に効果があるの?

ストレッチとは、筋肉を伸ばして良い状態に整えることです。筋肉や関節を柔らかくしたり、呼吸を整えて気持ちを落ちつけたりするのに役に立ちます。

安産のためのストレッチを安産体操といいます。妊婦体操や妊娠体操とも呼ばれ、筋力・柔軟性・スタミナを向上させる目的で行います。安産体操には様々な種類があり、目的によって選んで行うのがおすすめです。

ストレッチは、安産のために大切な柔軟性を高める上で、とても効果的です。安産に向けた心の準備にも適していると思います。

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股関節を柔らかくするストレッチ6つ

安産体操には様々な種類がある、と先ほどお話ししました。今回はその中でも、股関節を柔らかくするためのストレッチを6つご紹介します。自分にできそうなものから試してみてください。股関節や筋肉の動きを意識しながらやると、さらに効果があります。

股関節を柔らかくするのには時間がかかるので、ストレッチは毎日少しずつ継続していきましょう。どのストレッチも最初は3回くらいにして、慣れたら回数を増やしていくのがおすすめです。

ストレッチ1.あぐらでひざ押し(座って行う)

背筋を伸ばして座り、左右の足の裏を合わせてあぐらをかきます。両足のかかとを自分の方へ十分に引き寄せます。両手をひざの上に置き、息を吐きながら、ひざを床に向けてゆっくりと押していきます。

背筋はまっすぐ伸ばしたまま、少し痛いところまで押したら止めて、姿勢を5秒キープしたらゆっくり戻します。股関節のあたりの筋肉を伸ばすイメージで行います。

ストレッチ2.上半身を前に倒す(座って行う)

両足を開き、背筋を伸ばして座り、手は前に置きます。息を吐きながら、上半身をゆっくり前に倒していきます。背筋を伸ばしたまま、ひざは曲げないようにして、つま先も伸ばします。

少し痛いところまで倒したら、その姿勢を5秒キープし、ゆっくりと姿勢を戻します。上半身が床につかなくても大丈夫です。

ストレッチ3.上半身を左右に倒す(座って行う)

背筋を伸ばして座ります。片方の足はまっすぐに、反対の足はひざを曲げて外側に開き、かかとを自分の方へ十分に引き寄せます。伸ばしている足の方向に上半身を倒します。つま先に向かって両手を伸ばしながら、ひざを曲げないようにして倒していきます。

手がつま先に届かなくても大丈夫です。ゆっくりと倒していき、少し痛いくらいのところで5秒キープしたら、ゆっくりと姿勢を戻します。反対側も同じように行います。

ストレッチ4.しゃがんで前傾姿勢

ひざをできるだけ左右に開いてしゃがみます。両手を前に置き、手で体を支えるように、前に体重をかけていきます。5秒キープしたあとゆっくり姿勢を戻し、これを何度か繰り返します。

次はこのままの姿勢で前進します。歩幅は無理のない程度で、前に転んでしまわないように気をつけましょう。少し難易度が高いので、前進はできなくても大丈夫です。

ストレッチ5.ひざを外側に曲げる(寝ながら行う)

仰向けで寝ながら足を肩幅くらいに開きます。手は体の横に置きます。足を床につけたまま、片方のひざをゆっくりと外側に曲げていきます。少し痛いと思うところで止めて、5秒キープします。ゆっくりと元の姿勢に戻したら、反対も同じように行います。

ストレッチ6.腰を前後に揺らす(立って行う)

足を肩幅くらいに開き、背中と頭を壁につけて、背筋を伸ばして立ちます。手は腰のあたりに当てておきます。壁から頭を離さないように気をつけながら、ゆっくりとひざを曲げていきます。軽く腰を落とすくらいで、深く曲げすぎないようにします。

この状態で腰を前後にゆっくり揺らします。骨盤を動かすようにイメージしながら、2~3往復くらいします。終わったら、曲げたひざを伸ばしていき、最初の姿勢に戻します。

ストレッチが終わったら

ストレッチのあとは、リラックスする時間をとりましょう。背筋を伸ばしてあぐらをかき、体の力を抜いて深呼吸します。

楽しい事やうれしい事をイメージしたり、お腹の赤ちゃんのことを考えるのに集中したりすると、気持ちが優しく穏やかになってくると思います。

十分にリラックスできたら終了です。このリラックスタイムを大切にすると、安産に向けて、体だけでなく心の状態も整えていくことができます。

あぐらは股関節を柔らかくする!

あぐらをかく習慣があると、股関節が柔らかくなってきます。ストレッチのあと以外にも、テレビを見ているときや本を読んでいるときなど、リラックスタイムにはあぐらをかいて過ごすのがおすすめです。

毎日のちょっとした時間にあぐらをかいていると、少しずつ股関節の柔軟性が高まり、出産のときの姿勢が楽になります。比較的簡単にできると思うので、あぐらをかくのがクセになるくらい、やってみてくださいね。

妊娠中のストレッチの注意点

ストレッチには良い効果がたくさんありますが、人によって状況は違うので、行わない方が良い場合もあります。また、妊娠中の体はデリケートで、注意しなければならないことがたくさんあります。安全に行うために、次の注意点を必ず守ってください。

  • 実施する前に、安産体操を行っても良いか、かかりつけの医師に必ず確認する
  • お腹の張りや痛み、出血などいつもと違う症状があるときや気分が悪いときは行わない
  • 途中でお腹の張りや痛み、違和感があったり、気分が悪くなったりしたときは中止する
  • 中止しても体調が戻らないときは、すぐにかかりつけの病院に連絡して診察を受ける
  • 食後30分以内とお風呂からあがってすぐには行わないようにする
  • 安産体操をするときは、体を締めつけないような、ゆったりとした服装で行う
  • 決して無理をせず、自分のペースでゆっくりと行う
  • 硬い床の上ではなく、マットの上などの柔らかいところで行う
  • ぶつかったりつまずいたりしないように、十分な広さを確保して行う

安産じゃないとダメなの?

周りの人から「安産だったね」とか「難産だったね」とか言われることがあります。そんなとき、自分の出産を評価されているような気がして、気持ちが落ち込んでしまうかもしれません。

でも、安産かどうかは、あくまで個人のただの感想です。お産が良かったかどうかは、周りが判断することではありません。安産だったら良くて安産じゃなかったらダメだとか、そんな決まりもありません。

早産でも過期産でも、帝王切開になっても、陣痛促進剤を使っても、吸引分娩でも鉗子分娩でも、どんなに時間がかかっても、ダメなんかじゃありません。

どんな形であっても、お産が終わったときに「私、頑張った!!」「お産できて良かった!!」と思えたら、それが一番の理想ではないでしょうか。

一人の命をこの世界に誕生させるというのがどれだけすごいことなのか、考えてみてください。たとえ後悔があったとしても、およそ10か月の妊娠期間を乗り越えて赤ちゃんを産むことができたのなら、それ自体を誇りに思って良いのではないでしょうか。

安産という言葉にとらわれずに、自分の気持ちを大切にしてくださいね。

まとめ

「安産」は医療用語ではないので、明確な定義がありません。一般的には、正期産で自然な短時間のお産であった場合に「安産」と言われることが多いです。安産のためには「筋力」「柔軟性」「スタミナ」の3つの要素が大切です。

股関節が硬いと、お産とき体勢がとてもつらく、途中で足がつる場合もあります。また、お産の最後に足をしっかり開いて股関節の筋肉をゆるめると、赤ちゃんの通り道を広くしてあげられます。こういった理由から、股関節が柔らかいと安産になりやすいと言えます。

体の柔軟性を高めるためには、ストレッチが有効です。ストレッチは筋肉を伸ばして良い状態に整え、筋肉や関節を柔らかくしたり、呼吸を整えて気持ちを落ちつけたりするのに役立ちます。安産のためのストレッチは「安産体操」といって、様々な種類があります。

今回は、股関節を柔らかくするためのストレッチを6つご紹介しました。股関節や筋肉の動きを意識しながらやってみてください。まずは自分にできそうなものから、毎日少しずつ続けていきましょう。

ストレッチのあとは、あぐらをかいてリラックスする時間をとりましょう。毎日のちょっとした時間にあぐらをかいていると、少しずつ股関節の柔軟性が高まります。簡単にできるのでおすすめです。

股関節の柔軟性を高めるストレッチですが、妊婦さんの状況によっては、行わない方が良い場合もあります。注意点を必ず守り、安全に十分配慮しながら行うようにしましょう。

この記事では安産についてお話ししてきましたが、安産じゃないとダメなんてことはありません。「安産」の意味は人によって違うので、言葉にとらわれる必要はありません。

妊娠や出産をすること自体がすごいのですから、どんなお産であったとしても、頑張った自分を誇りに思ってほしいです。この記事を読んだ妊婦さんが、赤ちゃんと一緒にお産を乗り越え、大きな喜びと感動を味わえるよう願っています!

こちらの記事では、寝ながらできるストレッチをご紹介しています。特に臨月に入った方は、ぜひ読んでみてくださいね。
臨月からの安産体操とは?寝ながらできるストレッチ!

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