この記事を読まれている妊婦さんは、お腹の中の赤ちゃんのことを考えて、食生活を改善しよう、朝ごはんをしっかり食べようと考えていらっしゃるのだと思います。
でも、どれくらいのカロリーにすればいいのか、具体的に何をどう食べればいいのか、悩みますよね。
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そこで、妊婦さんの摂取カロリーの目安や食事のポイントなどについて、できるだけわかりやすくお話ししていきたいと思います!
朝ごはんの重要性

妊娠前は「朝ごはんが大事」と何となくわかっていても、毎日の忙しい生活の中で、朝ごはんを抜いたり簡単に済ませたりしてきた妊婦さんは多いのではないでしょうか。
私も学生時代はそうでしたが、朝ごはんを食べないと空腹であることばかりが気にかかり、思考がうまく働かない、体調が悪いと感じていました。
朝ごはんを食べないと、私たちの身体にはどのようなことが起こるのでしょうか。まずは朝ごはんの重要性について考えていきたいと思います。
朝ごはんを食べないと、上記のような不調が起こるのはなぜでしょうか。
人間の身体の中で、脳は糖分を最も多く使用します。そのため、朝ごはんを食べないことは、思考力を低下させてしまうのです。
さらに、朝ごはんを食べない場合、前日の晩ごはんから次の昼ごはんまで、およそ15時間以上も何も食べずに過ごすことになります。
夜寝ている間にも身体のエネルギーは消費されるので、エネルギー不足は非常に深刻なものとなってしまい、身体の不調を感じることになります。
また、人間の身体は、エネルギー不足になると脂肪を多く蓄えようとするので、お昼ごはんでより多くの脂肪を蓄えてしまいます。
加えて、朝ごはんを食べないとお昼ごはんで血糖値が急上昇し、血糖値を下げるためのインスリンというホルモンが多量に分泌されて、糖尿病になるリスクが高くなってしまいます。
朝ごはんを食べないことが引き起こすのは、思考力の低下、エネルギー不足、脂肪の蓄積、糖尿病のリスク増大……。
こうして考えてみると、朝ごはんを食べないことは、身体に悪影響ばかりもたらすということがよくわかりますね。
ここまでは全ての人に共通する内容でしたが、次からは妊婦さんだからこそ気を付けたい食事のポイントについて、お話ししていきたいと思います。
妊婦さんが細かく食事指導を受ける理由
妊婦さんは妊婦健診に通う中で、看護師や助産師からの保健指導を受けます。その指導では、食生活や体重管理について何度も口うるさく言われることが多いです。
なぜ妊婦さんの食事をそこまで重要視しているのか、その理由について述べていきたいと思います。
身体に必要なカロリーは、お腹の中の赤ちゃんの分だけ、妊娠前より多くなります。しかし、妊娠中にカロリーを摂りすぎると、産道や子宮に脂肪がついてしまいます。
その結果、赤ちゃんが生まれてくるのに時間がかかったり、産後の子宮の戻りが悪くなり出血が多くなったりと、母子ともに危険な状態を引き起こします。
そのため、お腹の赤ちゃんの成長のためには、食事の量を増やして妊娠前より多くカロリーを摂ろうとするよりも、カロリーの摂りすぎに気をつけて必要な栄養をしっかり摂ることが大切になります。
一方で、つわりの時期や、子宮が大きくなり胃を圧迫する時期は、食事がなかなか摂れなくなりカロリーが不足して、体重が減ってしまうことも多くあります。
こういった時期の妊婦さんには、必要最低限のカロリーを摂取するため、食べられそうなものを食べられるときに、少量ずつ小分けにして食べてみるようアドバイスします。
また、妊娠することで高血圧になったり糖尿病になったりする妊婦さんもいて、栄養バランスの偏りがその引き金となってしまうことがあります。
塩分の摂り過ぎは妊娠高血圧症候群を引き起こす可能性を高め、重度の高血圧症候群になると血液の流れが悪くなり、栄養や酸素が赤ちゃんに届きにくくなってしまいます。
妊娠糖尿病になると赤ちゃんが大きくなりすぎて難産になったり、生まれてすぐに赤ちゃんが低血糖を起こしたりする危険があります。
こういった妊娠合併症を防ぐためには、毎日の食事の栄養バランスを整える必要があります。
このように、お腹の中の赤ちゃんが順調に成長し、母子ともに安全なお産を迎えるためには、妊娠中の食事が非常に重要なのです。
気を付けたいポイントは、1.カロリーを摂りすぎない(最低限の必要量は満たす)こと、2.必要な栄養をバランスよく摂ることです。
朝ごはんを食べないと身体に悪影響ばかりもたらすことは、最初にお話ししました。妊娠中であれば、食事の影響はより大きくなるので、朝ごはんが非常に重要な役割を担うことになります。
食事の内容だけではなく、食事の摂り方にも気をつけていかなければなりませんね。
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1日に摂取すべきカロリーはどれくらい?
妊婦さんは、お腹の中の赤ちゃんの分を満たしながらも、カロリーを摂りすぎないようにしなければならないと先ほどお話ししました。
それでは、具体的にどれくらいのカロリーを摂取すればいいのでしょうか。1日に必要なカロリーは、性別、年齢、身体活動レベルによって異なります。
身体活動レベルは、日常生活の内容によって以下の3つに区分されます。
低い (Ⅰ)
:生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
ふつう(Ⅱ)
:座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買い物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
高い (Ⅲ)
:移動や立位の多い仕事への従事者、あるいは、スポーツ等余暇における活発な運動習慣を持っている場合
妊娠していない女性の1日に必要と推定されるカロリーは、以下の表のようになります。
身体活動レベル | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
18~29(歳) | 1650 kcal/日 | 1950 kcal/日 | 2200 kcal/日 |
30~49(歳) | 1750 kcal/日 | 2000 kcal/日 | 2300 kcal/日 |
さらに妊婦さんは、上記に付加量が加わります。お腹の中の赤ちゃんが大きくなっていくにしたがって、必要なカロリーも少しずつ増えていきます。
妊娠初期(~15週6日)
:妊娠前+ 50kcal/日
妊娠中期(16週0日~27週6日)
:妊娠前+250kcal/日
妊娠後期(28週0日~)
:妊娠前+450kcal/日
例えば30歳で身体活動レベルⅡ、妊娠中期の妊婦さんは、2000+250=2250kcal/日となります。自炊の場合はなかなかカロリー計算が難しいと思いますが、これから特に外食やお惣菜を買う場合などには、是非カロリーを気にしてみてください。
ここまで、カロリーの具体的な摂取量について述べてきましたが、毎日・毎食のカロリー計算はとても大変です。そこで、カロリー計算をするのではなく、妊娠してからの体重の増え方をみて食事量を調節する方法もおすすめします。
妊娠全期間を通しての望ましい体重増加量は、BMI(体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))の値によっても異なるのですが、おおよそ10kgと言われています。
医療機関では体格など個人に合わせて目標体重が設定されると思いますので、その体重よりも増えすぎないことが大切です。
妊婦さんは、お産が近づくと赤ちゃんが下がってきて胃の圧迫感が和らぎ、食欲が出て一気に体重が増えてしまう傾向があります。このことも踏まえて、日頃から体重を記録するクセをつけていきます。
体重の増え方が急激で自分の目標体重を超えてしまいそうなときは、食事の内容や摂り方などを見直し、体重増加を抑えていきます。
このような方法であれば、計算をしなくてもカロリーの摂りすぎに気付くことができると思います。毎日のカロリーの摂取量がちょうどいいのかどうか知るためにも、ぜひ試してみてくださいね。
具体的な食事のポイント
ここまでで、妊婦さんにとっての食事がいかに重要かということは理解できると思います。それでは、どのように食事を工夫すれば良いのでしょうか。具体的なポイントを紹介していきたいと思います。
1.カロリーを摂りすぎない
◎食事の摂り方を工夫する
- 朝ごはんを抜かず、時間を決めて三食欠かさず食べる
- ゆっくり食べる習慣をつけて、満足感を得る
- 朝ごはんをしっかり食べて夕食は控えめにする
- 寝る3時間前には食べ終える
- 間食をできる限り減らす(*)
*あまり食べられないときは無理せず何度かに分け、食べられるものを少しずつ食べるようにしてみましょう。
◎調理を工夫する
- 肉は脂肪の量が少ない部位を選ぶ
- フライパンで焼く代わりに、電子レンジを使って加熱する
- 油を極力使わずに調理する
◎食事以外のストレス発散法を見つける
◎散歩などで毎日の運動量を増やす
2.必要な栄養をバランスよく摂る
◎自分の食生活に欠けている栄養素を補う
- 炭水化物(糖分)・油脂(脂肪分):摂りすぎにならないよう注意する
- カルシウム:コップ一杯の牛乳とヨーグルト1個が1日の量の目安
- 緑黄色野菜やその他の野菜・果物:まずは1日に1回以上食べ、徐々に増やす
- 極端な偏りなく、色々な種類の食べ物から栄養を摂るようにする
◎貧血にならないように注意
- まずは食べ物から鉄分を摂る(レバー(食べ過ぎ注意)、ほうれん草、小松菜、ひじきなど)
- 不足の分は妊婦さん用のサプリメントも活用してみる(頼りすぎには注意)
◎塩分を摂りすぎない
- 外食やインスタント食品には塩分が多いので、できるだけ減らす
- 麺類の汁は残すようにして、味噌汁は塩分が多いので1日1回まで
- かけ醤油よりもつけ醤油にする
- 素材の味を生かし、味付けは香辛料や香味野菜、酸味のあるもの、だし汁などを活用する
◎嗜好品は避ける
- コーヒー・紅茶などのカフェインの含まれる飲み物、炭酸飲料、チョコレートなどは食べないようにする
- たばこやアルコールは、自分と赤ちゃんのために、絶対に止める(*)
*どうしても止められないときは、否定しないで話を聴いてくれる人に相談しながら、少しずつ減らしていきましょう。必ずできます。
いきなり毎食を手作りにしよう!などと高すぎる目標を設定しても、達成できるものではありません。自炊できないときは、コンビニやスーパーのお惣菜でも良いのです。
例えば朝ごはんに関することであれば、朝ごはんを食べていなかった人は何でもいいので食べるようにする。パン1個で朝ごはんを済ませていた方は野菜やスープをプラスしてみる。
朝ごはんで栄養が偏ってしまったら、お昼ごはんや晩ごはんで不足した栄養素を補うよう意識する。朝ごはんのカロリーが高すぎたと思ったら、その日はカロリー控えめの食事にする。
このように、最初はちょっとした変化でいいのです。その「ちょっと」が積み重なっていけば、大きな変化となっていきます。
「今日はこれができた。明日はこれをやってみよう!」と楽しみながら、これらのことを少しずつ自分の食生活に取り入れてみてください。
まとめ
赤ちゃんのために食生活を変えようとしている妊婦さん。妊娠しているからといって特別な食事内容にする必要はありません。大切なのは、カロリーを必要以上に摂取しないよう気をつけて、栄養バランスの偏りを減らし、三食しっかりと食べることです。
これは妊娠期に限ったことではなく、健康的な生活を送る上で大事なことです。これまでの生活習慣を変化させるのはとても難しいことですが、お腹の中の赤ちゃんはその大きなきっかけを作ってくれます。
頑張れない日もあるのが当たり前です。食生活をちょっと見直すことができたら、自分自身をほめてあげてくださいね。
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